日々と文学

読書ブログ、映画ブログ

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

112.『ユリイカ』11 サクラ、海、ベーコン

サクラはまだ咲いていない。これを書いているのは3月14日、よく晴れた日曜日だ。渋谷の街には半袖Tシャツ一枚の人もよく見かけた。昨日の豪雨、雷雨がすべてを洗い流していった。大気がごっそり入れ替わり、まだ風が強いなか、深い青空が覗いている。 『ツァ…

111.『ユリイカ』10〈星〉

休みの日、珍しい二連休だったが天気は悪かった。『気狂いピエロ』を流して本を読んでいた。食べ物も碌なもん食ってないし、部屋も散らかっていた。起きて、片付けて久しぶりに洗濯して掃除機をかけ、ワイシャツをアイロンした。昨日借りたら一本だけ2泊3日…

110.『ユリイカ』9〈幼な子〉

「復讐欲の渦巻となるよりは、円柱苦行者となるほうがましだ(わたしを固くこの柱に縛りつけなさい!)」前回の『ツァラトゥストラ』のつづきである。前回書いた「有徳者たち」という節の終わりの方にこうある。「海」が出てくるのだ。「母が愛児のなかにあ…

109.『ユリイカ』8〈ツァラトゥストラ〉

「かれらが「わたしは正しい(ゲレヒト)」と言うと、それはいつも「わたしは復讐(ゲレヒト)した」としか聞こえない!」ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの『ツァラトゥストラはこう言った』上巻、「有徳者たち」という章。私はその昔、『小説、世界…

(108)『ユリイカ』7〈海〉

小学校三年生まで湘南の団地に住んでいた。住所も「辻堂西海岸」で、少し歩けばビーチだった。左に江ノ島があった。そこに今でも年一回、あるいはもう少し少ないペースで行っている。海の中には入らないが、江ノ島や辻堂の海岸に行きたい、とたまらなくなっ…