日々と文学

読書ブログ、映画ブログ

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

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『失われた時を求めて』第9巻で、その日別れを告げようとしていた恋人アルベルチーヌに突如あるきっかけで「私」の病的な嫉妬が再燃する。リゾート地バルベックにて、ラ・ラスプリエールの景勝地に邸を構えるさる貴婦人の晩餐会の帰りの、鉄道の中だった。そ…

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先週のブログを書いていて、現在の私が前にしている世界と、別の世界のあり方を体験として提示する芸術は、だから私の芯を思い出させる、と最後に書いた。芯というのは、根、何の決定も受けていない、いわばゼロ、無の状態。何度も引用してきた『失われた時…

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チェーザレ・パヴェーゼの『美しい夏』の冒頭を別の本での引用で読んで、あまりにも目が覚めるような小説の、世界への楽しみに満ちたビビットさを感じ、近場の書店に行ったら岩波文庫で3冊、パヴェーゼの作があったが『美しい夏』はなかった。『月と篝火』と…

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蓮沼執太フィルの『FULLPHONY』を聴いている。眠る時に。よく分からない音楽で、「フィル」ってそもそもなんなのか。「オーケストラの名前によく付く」らしい。蓮沼執太オーケストラみたいなことか。たしかに演奏動画はそんな感じではある。みんな私服でラフ…